FIRE(経済的自立・早期リタイア)を目指して資産形成を進めるうえで、「4%ルール」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
確かに、4%ルールは資産運用・取り崩しの指標として非常に有名ですが、万能なルールではありません。
特に注意すべきは、今私たちが直面しているインフレのリスクです。
この記事では、「4%ルールとは何か」を改めて整理しつつ、インフレが資産形成とFIRE達成後にどう影響するかをリアルに解説していきます。
4%ルールとは何か?簡単におさらい
4%ルールとは、アメリカのトリニティスタディ(Trinity Study)に基づく資産取り崩し戦略です。
ざっくり言うと、「リタイア時に必要な年間支出額の25倍の資産を築き、毎年4%ずつ取り崩せば、30年以上資産が枯渇しない」という考え方です。
たとえば、年間生活費が300万円なら、300万円×25=7500万円を用意し、
リタイア後は毎年7500万円の4%=300万円を取り崩して生活するイメージです。
ただし、これは過去のデータに基づく仮説であり、将来の経済状況(特にインフレ率)によって成り立たない可能性もあります。
なぜインフレが4%ルールの最大の敵になるのか?
インフレとは、物価が継続的に上昇する現象です。
インフレが進めば、同じ金額でも買えるモノやサービスの量が減っていきます。
仮に、毎年4%ずつ資産を取り崩していたとしても、生活費自体がインフレで5%ずつ上昇していったらどうなるでしょうか?
支出が想定より早く膨らみ、取り崩し額が増え、結果として資産寿命が短くなってしまいます。
つまり、インフレによって4%ルールは「安全な取り崩し率」ではなくなるリスクがあるのです。
インフレが激しいと起こるシナリオ
インフレが長期的に続くと、以下のようなリスクが現実になります。
- 想定より早く資産が尽きる
- 生活水準を下げざるを得なくなる
- 最悪の場合、再び働く必要が出てくる
これでは、本来目指していたFIRE生活とは程遠い現実になってしまいます。
だからこそ、インフレリスクを織り込んだ対策が必要なのです。
インフレに負けないための現実的な対策
インフレリスクを本気で意識するなら、単なる資産運用だけでは不十分です。
ここでは、より実践的な対策を紹介します。
1. 支出側を「インフレ耐性型」にする
生活費そのものをインフレに強くしておくことも重要な対策です。
- 住居費(ローン金利は固定型を選ぶなど)を安定させる
- 光熱費や通信費も、安定プランや固定プランを活用
- 無駄な可変費(外食、趣味消費など)を抑える意識を持つ
支出をコントロールできれば、インフレによるダメージを最小限に抑えられます。
2. 取り崩し率を柔軟に調整する
4%ルールは目安に過ぎません。
インフレが進んだ年、または投資成績が悪い年には、取り崩し額を一時的に減らす柔軟な対応が必要です。
逆に、投資成績が好調な年は取り崩し額を増やすなど、「可変取り崩し戦略」を取り入れましょう。
3. 少額でも副収入を確保しておく
完全に資産取り崩し型に頼るのではなく、少しでも収入源を持っておくと大きな安心材料になります。
例えば、
- ブログやSNSを活用した広告収入
- 趣味を活かした小規模な副業
- スキルシェアサイトなどでのスポット収入
月数万円程度でも、資産取り崩しの圧力を大きく軽減できます。
まとめ|4%ルールを過信せず、柔軟な資産設計を
4%ルールは、資産形成やFIRE達成の目安として非常に参考になります。
しかし、インフレリスクを無視してはいけません。
これからの時代、資産を「増やす」だけでなく「守る」「適応する」意識がますます重要になります。
支出を安定させ、柔軟な運用と取り崩しを行い、少しでも収入源を確保する。
こうした複合的な備えが、FIRE生活を長く持続させるカギになります。
未来の安心は、今日から始める小さな工夫の積み重ねです!
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