サイドFIRE対応のFIRE達成年数公式
「サイドFIREを目指しているけど、実際あと何年でFIREできるのか分からない……」
そんな疑問を持つ方に向けて、この記事では
- 初期資産あり
- FIRE後も副収入あり(サイドFIRE)
という現実的な条件を踏まえたFIRE達成年数の数式とその意味をわかりやすく解説します。
FIRE達成年数の公式
\[ N = \log_{R} \left( \frac{ \frac{(1 – t)Y – I_0}{0.04} + \frac{tY}{r} }{ {S_0} + \frac{tY}{r} } \right) \]
変数の意味
- \( t \):貯蓄率(手取り収入に占める割合、例:0.3)
- \( r \):年利回り(例:0.05)
- \( Y \):年間手取り収入
- \( I_0 \):FIRE後の年間副収入
- \( S_0 \):初期資産
- \( R = 1 + r \):利回り込みの倍率
- \( N \):FIREまでの年数
サイドFIRE達成年数シミュレーター
サイドFIRE達成年数の数式導出(詳細版)
○ 目的
初期資産 \( S_0 \) があり、年間貯蓄 \( tY \) を毎年継続し、副収入 \( I_0 \) をFIRE後に得るという条件で、何年後(\( N \)年後)にFIRE達成できるか?を数式で導きます。
○ Step 1:FIRE後に必要な資産額
FIRE後も副収入 \( I_0 \) があるなら、「生活費 \( (1 – t)Y \)」から「副収入」を引いた金額を資産から取り崩せばOK。4%ルール(年4%の利回りで取り崩し)により:
\[ \text{必要資産} = \frac{(1 – t)Y – I_0}{0.04} \]
○ Step 2:資産の増え方(複利と積立)
FIRE達成までの間、資産は次の2つの要素で成長します:
- 初期資産 \( S_0 \):年利回り \( r \) で複利運用されるため、\( N \) 年後には:
\[ S_0 \cdot R^N \quad \text{(ただし } R = 1 + r\text{)} \]
- 毎年の積立:年間 \( tY \) を積み立てた場合、それぞれの年の積立が異なる年数だけ複利成長します。
以下のような等比数列の和で求まります:
\[ tY + tY \cdot R + tY \cdot R^2 + \cdots + tY \cdot R^{N-1} \]
これを数式で表すと:
\[ tY \cdot \left(1 + R + R^2 + \cdots + R^{N-1}\right) = tY \cdot \frac{R^N – 1}{R – 1} \]
\( R – 1 = r \) より:
\[ \text{積立成長分} = \frac{tY}{r} (R^N – 1) \]
この2つを合わせて、\( N \) 年後の総資産は:
\[ \text{資産} = S_0 \cdot R^N + \frac{tY}{r} (R^N – 1) \] \[ = R^N (S_0 + \frac{tY}{r}) – \frac{tY}{r} \]
○ Step 3:FIRE達成条件を代入
\( \text{資産} = \text{必要資産} \) より:
\[ R^N (S_0 + \frac{tY}{r}) – \frac{tY}{r} = \frac{(1 – t)Y – I_0}{0.04} \] \[ R^N (S_0 + \frac{tY}{r}) = \frac{(1 – t)Y – I_0}{0.04} + \frac{tY}{r} \]
○ Step 4:FIRE達成年数 \( N \) を対数で解く
\[ N = \log_{R} \left( \frac{ \frac{(1 – t)Y – I_0}{0.04} + \frac{tY}{r} }{ S_0 + \frac{tY}{r} } \right) \]
この式の直感的な意味
- 分子: FIRE後の必要資産 + 積立補正
- 分母: 初期資産 + 今後の積立資産
この式は「目標資産 ÷ 資産形成力」を複利成長で追いかけた結果といえます。
まとめ:FIRE年数は“感覚”ではなく“構造”で考える時代へ
サイドFIREという現実的な目標に向かううえで、私たちがまず手にするべきなのは「計算できる安心感」です。
この記事で紹介した公式は、単なる数式ではありません。
貯蓄率・利回り・初期資産・副収入といった“あなた自身の条件”を変数として捉え、それらが何年後にFIREを実現するかを具体的に可視化するツールです。
直感ではなく、構造を理解すること。
不安ではなく、数字に基づく戦略を持つこと。
この数式とシミュレーターが、あなたのFIRE戦略を一歩前進させるきっかけになれば幸いです。
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