r>gとは何か?
「r>g」とは、経済学者トマ・ピケティが著書『21世紀の資本』で示した有名な不等式です。r(資本収益率)がg(経済成長率)を上回るという現象が長期的に続くと、資産を持つ者と持たざる者の格差が拡大していく、というものです。
たとえば、日本のg(経済成長率)はここ20年ほどで平均0.5〜1%。これは、年収500万円の人の給料が、翌年505万円や510万円になる程度の伸びです。(実感としてはそれすら怪しい気が・・・)
一方で、r(資本収益率)は全世界株式などの投資リターンで年5〜7%が期待されます。つまり、500万円の資産を投資していれば、翌年には25〜35万円増えるという計算です。
働いても給料は数万円の昇給、でも資産があれば何十万円も自動で増えていく──
これがr>gの衝撃です。
なぜ資産を持つ者が強くなるのか
労働収入(g)は時間と体力を提供して得るものであり、成長にも限界があります。景気や会社の業績に左右され、給与アップにも時間がかかります。
一方、資産運用(r)は資本に働いてもらう行為です。特にインデックス投資のような長期投資では、一度仕組みを作ってしまえば「寝ている間にも増える」状態が成立します。
同じ500万円でも、労働で得た場合と、投資で得た場合では再現性と加速力がまるで違うのです。
FIREとr>gの関係
FIRE(経済的自立と早期リタイア)は、このr>gの構造を活用する人生戦略です。資産が一定額まで増え、そこから得られるリターン(r)だけで生活費をまかなえるようになれば、働かなくても生きていけるようになります。
例えば、生活費が年間200万円で、年利5%で運用できるとすれば、必要な資産は4,000万円。FIREとは、r(資産収益)が生活コストを上回る状態を作ることなのです。
インデックス投資でrを得る
FIRE実現の王道は、全世界株式やS&P500などのインデックス投資です。これらは過去20年で年率6〜8%のリターンを記録しており、r>gを象徴する存在ともいえます。
貯蓄率がFIRE達成年数を決める
FIREのもう一つの鍵は貯蓄率。収入から支出を引いた分をいかに早く投資に回せるかが、達成スピードを決めます。
例えば、年収500万円の人がそのうち250万円を貯蓄・投資に回せば、20年以内のFIREも十分に狙えます。rを活かすには、元手となる資本を早くつくることが重要なのです。
r>gが生む格差とその対策
r>gが続く限り、資産を持つ者がさらに豊かになり、持たざる者は相対的に取り残されます。日本のように賃金上昇が鈍い国では、この傾向がさらに顕著になります。
ですが、対抗手段がないわけではありません。少額からでも投資を始めることで、「資本側」に身を置くことができます。
非課税制度の活用
NISAやiDeCoといった非課税制度を使えば、税金で取られる分を抑え、複利効果を高めることができます。手取りが限られている人ほど、こうした制度の活用が効果的です。
固定費を減らして投資に回す
生活費を見直し、固定費を減らせば、投資に回せるお金が増えます。例えば格安SIM、サブスクの解約、中古家電の活用など、日常の支出改善が将来のrを生み出します。
子どもへの金融教育も重要
この「r>g」の構造を早い段階で理解できれば、子どもたちの人生も大きく変わります。お金に働いてもらう思考を教えることは、最大の教育投資といえるでしょう。
まとめ:r>gを味方につけよう
r>gは、資本主義における「不都合な真実」ともいえます。しかし、それを理解し、自らの行動に落とし込めば、強力な武器にもなります。
年収500万円を得るのに1年働くか、500万円の資産に働いてもらうか──。この違いに気づけたなら、あなたはすでにFIREへの一歩を踏み出しています。
資本主義のゲームで「プレイヤー」になるのか、「労働者」として消費するだけか。未来の自分のために、今日から資産を育てるという選択を。
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