「収入が増えたのに、なぜ貯まらない?」
毎月の給料が上がった。副業で収入が増えた。
なのに、なぜか貯金がまったく増えない…。
そんな経験、ありませんか?
実はそれ、あなたのせいではありません。
ある“法則”が、あなたの貯蓄を静かに奪っている可能性があります。
それが、「パーキンソンの法則」です。
パーキンソンの法則とは?
本来は「仕事量」に関する法則だった
パーキンソンの法則はもともと、イギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソンによって提唱された法則です。
彼は著書の中でこう述べています。
「仕事は、与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する」
たとえば「1時間でできる仕事」でも、「3時間の期限」があれば、人はその3時間をかけてしまう。
つまり、人間は与えられたリソース(時間・お金)に合わせて行動を膨張させる性質があるのです。
支出にも当てはまる「もう1つのパーキンソンの法則」
この法則は、家計にもそのまま当てはまります。
それが、
「支出は、収入の増加に応じて膨張する」
昇給したのに、なぜか手元にお金が残らない。
副業を始めて収入が増えたのに、生活レベルが上がって逆に苦しくなった。
こうした現象は、まさに「パーキンソンの法則」に支配されている状態です。
収入に従い支出が増えることは自然な流れかもしれませんが、それに従って幸せが増えるとは限りません。
私は学生時代、わずかなバイト代でも十分楽しく暮らしていました。
とくに大学時代に経験した「お金をかけない楽しさ」は、今でも財産です。
また登山が趣味の私は、長期休みに何日も山の中にテントを張って生活したり、ヒマラヤに長期滞在した際も、低い生活水準の中での最低限の生活でしたが、毎日が新鮮で豊かでした。
至極個人的な思想になりますが、お金をかけずとも心が満たされる体験を知っておくことは、生活レベルをコントロールする力になります。
なぜパーキンソンの法則が貯蓄率を奪うのか
生活レベルの“自然な膨張”が起きている
収入が増えると、つい次のような行動を取りがちです。
- ちょっと良いランチを選ぶようになった
- 家具や家電をアップグレードした
- 今より便利で広い部屋に引っ越した
これらは一見、理にかなっているように見えます。
しかし、少しずつ“固定費”として家計を圧迫し、気づかぬうちに貯蓄率を下げていくのです。
貯蓄率の公式を思い出そう
貯蓄率 = (収入 − 支出) ÷ 収入
収入が増えても支出がそれに比例して増えていれば、分子(収入−支出)は増えません。
つまり、貯蓄率も上がらないのです。
最悪の場合、「支出の増え方>収入の増え方」になってしまい、貯金どころか毎月の生活もギリギリになることも。
FIREを遠ざける“見えない敵”
FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指す上で、もっとも重要な指標の一つが「貯蓄率」です。
収入の額よりも、どれだけ支出を抑えて、将来のために回せるか。つまり、収入と支出の間のギャップを大きくすることがFIRE達成年数を短縮する最短コースとなりますが、パーキンソンの法則はまさにこの最短コースを妨げる大きな敵といえます。
いくら年収が上がってもFIREはいつまでも“遠い夢”のままになってしまうのです。
パーキンソンの法則に勝つ3つの対策
① 生活費の「上限」を決める
まずは、自分と家族にとって「適切な生活費の上限」を決めてしまいましょう。
この上限内で暮らすことで、収入が上がっても支出を増やさない意識が生まれます。
たとえば、
- 月10万円以上は家賃に使わない
- 食費は週1でまとめ買いし、月3万円以内
など、数字でルールを決めると効果的です。
② 昇給しても「使わない」訓練をする
手取りが増えた瞬間、「何を買おうかな」と思ってしまうのが人間です。
だからこそ、“使わない”という選択をあえて練習してみるのが重要です。
たとえば昇給後の3ヶ月は、昇給分をまったく使わずに生活してみてください。
それだけで年間数十万円の差が生まれます。
③ 投資額を先取りする仕組みを作る
「余ったら貯める」では、絶対に貯まりません。
最初に「貯める・投資する」を自動化し、残ったお金で生活することが大切です。
具体的には、
- つみたてNISAやiDeCoを満額設定
- 給料日に別口座へ自動振替
といった工夫で、“使えるお金”の量を意図的に減らすことができます。
まとめ:貯まらないのは「パーキンソンの法則」が原因だった
お金が貯まらない理由は、意志の弱さや無計画さだけではありません。
人間に自然に働く“法則”が関係しているのです。
「支出は、収入の増加に応じて膨張する」
これは誰もが陥る罠です。
FIREを目指すなら、「収入を増やす」以上に「支出を増やさない」ことが重要です。
あなたの貯蓄率を守るために、今日からこの法則に逆らってみましょう。
収入が上がっても、生活レベルはそのままで、豊かさは維持する。
それこそが、最強の貯蓄体質への第一歩です。
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