※この記事は筆者の思想が強めに出ていますので、閲覧は十分にご注意ください※
簡単に筆者の登山歴
・登山暦は10年以上
・富士登山に始まって日本アルプスの魅力にハマり、日本百名山を中心に日本全国の山に挑戦中
・日本の山だけでは飽き足らず、ヒマラヤ、ヨーロッパアルプスなど世界中の高峰の登山が最近の生きがい

ヒマラヤでの一枚(筆者撮影)
登山とFIREの共通点とは?
登山という行為とFIREを目指す生き方。全く別のものに思えるかもしれません。しかしその本質は、「自立」そして「自分の人生を自分でコントロールする」という一点で深くつながっていると私は感じています。
山に入ると、都市の快適さや便利さから切り離され、自分の装備・判断・行動だけが頼りになります。これは経済的自由を目指す過程と驚くほど似ているのです。自立とは、他人やシステムに依存しないで生きる力のこと。登山者は、天候や道迷い、ケガといった外部環境と戦いながらも、自分の力で判断し、対応し、生き抜くことを日常的に訓練しています。
経済的に自立するということも同じ構造を持ちます。会社や上司に依存せず、自分の資産・スキル・意思で道を選んでいく生き方です。登山で鍛えた“孤独を恐れず自分で考え抜く力”は、FIREにおいても大きな武器になります。
登山が教えてくれた3つの資産形成力
1. 自己管理力(セルフコントロール)
登山では、体力の配分、水分や食料の消費量、装備の管理など、すべてを自分で判断して行動する必要があります。天候が悪化すればルートを引き返す勇気も必要です。無理をすれば事故につながる。つまり、“身の丈を知る”ことも重要なのです。
これはそのまま家計管理や投資判断に通じるものがあります。衝動買いを抑える力、リスク資産と生活防衛資金のバランスを取る力。FIREにおける計画と行動は、まさに“経済的登山”とも言えるでしょう。
2. ミニマリズム思考
山では“必要最小限”しか持ち運べません。軽量化は命に関わる問題であり、無駄な荷物はただの足かせになります。よって「本当に必要なものは何か?」を常に問い直す習慣が生まれます。
これはFIREにも重要な考え方です。便利なモノ、所有欲を満たすためだけのモノを増やすのではなく、自分にとっての“最適”を知ることが、支出を最適化し、資産形成を加速させます。「軽ければ軽いほど遠くに行ける」——この言葉は、山にもFIREにも当てはまる真理です。
3. 長期思考と計画力
登山ではルート選定、天候の確認、装備の準備、体力の配分、万一の撤退判断など、事前の計画と当日の実行力が求められます。特にテント泊や長期縦走では、食料計画、水場の位置、行程全体のバランスまで精緻に考える必要があります。
資産形成もまた“短距離走”ではなく“長距離登山”です。投資において短期的な上下に一喜一憂せず、年単位で積立を続けていく力が求められます。下山時にこそ足元に気を配るように、資産形成の後半こそリスク管理や出口戦略が重要になる。これは山もFIREも同じです。
山が教えてくれる「豊かさ」の本質
登山では、スマホの電波も届かず、コンビニもない。娯楽も食事も限られていますが、不思議と「豊かさ」を感じる瞬間があります。朝焼けに染まる稜線、湧き水の冷たさ、風の音。それらが心を満たしてくれる。
これはFIREを目指す上での大切な視点で、“消費の多さ=幸福”ではないという気づき。“足るを知る”ことこそが、経済的自由の出発点であると、私は山に教えられました。
たとえば、普段は積極的に食べないカップラーメンも、お腹ペコペコの状態で山頂で景色を見ながら食べると「こんなに美味しいものがあるのか」と驚くほどです。味覚以上の満足感が得られます。また、下山後に食べるカレーライス。これも格別です。高級レストランの凝った料理よりも、空腹と安心感の中で食べるシンプルな一皿が、心から美味しいと感じられる。これが「本当の豊かさ」なのかも、と毎回感じます。
ミニマム生活でも幸せだったあの頃
登山の準備では、単に軽量化を追求するだけでなく、「何を重視するか」を自分なりに選ぶ力も求められます。私は、テント泊のときに“山で美味しいお酒を飲むために”重い日本酒の瓶を担いで登ったことがあります。あるいは、山頂で絵を描きたくて、デッサン道具一式を持参したこともあります。
それは決して合理的ではありませんが、FIREを目指すうえでも「節約=我慢」ではないことを教えてくれました。限られたリソースの中で、自分の価値を置くポイントにしっかり投資する。それは人生を豊かにする支出であり、FIREにおける“生きたお金の使い方”に通じると感じています。
便利さや快適さは中毒性があり、上を目指すとキリがない。だからこそ、人生のどこかで「なくても幸せだった」経験をしておくことは、FIREを目指す上で大きな意味を持つのではないかと思います。
「少なく生きること」は、けして我慢ではなく、自分の価値観を取り戻す行為だと今は思っています。物質ではなく、時間や自然との関わり、精神の充足を大切にできること。これは資産1億円を持つことよりも、ずっと大切かもしれません。
まとめ:登山者はFIRE体質
登山をする人は、すでにFIRE的な価値観を多く持っています。自立志向、ミニマリズム、長期思考、自己管理、そして消費だけが豊かさではないという実態系。。これらを身につけている人は、資産形成においてもきっと強い。
FIREは山と同じく、自分の力で自由を勝ち取る旅路なのです。もしあなたが登山者であれば、FIREは夢物語ではなく“もう始まっている旅の延長線”かもしれません。そして、これから登山を始める人には、経済的自立に向けた最高のトレーニングになるはずです。あなたも、健康な体とFIRE思考を身につけるためにも、まずは近場のハイキングから山登り始めてみませんか?