S&P500や全世界株式インデックスなどが右肩上がりで成長している、という話を聞いたことがある人も多いと思います。長期に投資する前提にあるのが、この”右肩上がり”であるということ。私も投資を始めたときに、この理由について色々と考えたことがありました。これは偶然ではありません。むしろ、インデックスが指数的に成長するのには構造的な理由があるのです。
この記事では、インデックス成長の要因を4つの視点から解説します。どれも、日々の投資では見逃しがちな「裏側」にある仕組みです。
1. 複利効果──利益の再投資が生む“雪だるま式の成長”
まず外せないのが複利効果です。インデックスに含まれる企業は、毎年利益を上げ、それを再投資してさらに成長します。このサイクルが繰り返されることで、企業の価値が時間とともに指数関数的に増加していくのです。
投資家が配当金を再投資したり、企業が設備投資や人材投資を行うことで、「利益が利益を生む」構造が自然と形成されます。これは数式で表すと以下のようになります:
V(t) = V₀ × (1 + r)^t
これは、時間経過とともに加速的に増える、いわゆる指数関数の形です。
2. インデックスの「入れ替え」──負け組は排除される
インデックスのもう一つの特徴は、常に勝ち組企業で構成され続ける点です。S&P500などのインデックスは、業績悪化や時価総額の縮小などを理由に、基準に満たなくなった企業を除外し、代わりに成長企業を組み入れます。
これは、自然淘汰のような仕組みであり、長期的には上位500社の平均ではなく、選抜された“上昇組”の平均に近いのです。
結果として、インデックスは経済全体の平均よりも高い成長率を示し続ける傾向があります。
3. 世界経済の拡大──人口、通貨、テクノロジー
世界経済は、長期的には成長しています。理由は単純で、人口が増え、通貨供給が拡大し、テクノロジーによって生産性が向上しているからです。
こうしたマクロ的な拡大トレンドに乗って、企業の売上・利益も着実に成長します。つまり、インデックス全体の「土台」自体が成長し続けているというわけです。
たとえば…
- 人口増加→消費者の拡大→売上増
- テクノロジー進化→コスト削減・効率化→利益率向上
- マネー供給増→株式市場へのマネー流入→バリュエーション上昇
これらが複合的に働くことで、インデックスの価格も右肩上がりを維持しやすくなるのです。
4. 買い方のクセ──「割合」で見ることで高くても買う心理
ここで少しユニークな視点を加えましょう。投資家は株価を「値幅」ではなく「割合(%)」で見る傾向があります。
たとえば、Appleの株価が100ドルから110ドルになったとき、投資家は「10ドル上がった」と見るのではなく、「10%上昇した」と捉えます。そしてさらに10%上がると期待して買う人も多いのです。
このように、価格が高くなっても買いが入る構造ができやすく、それが結果的に市場全体の上昇圧力になります。
ETFや積立投資も支えている
また、ETFやインデックスファンドへの積立投資(定額買付)は、価格にかかわらず機械的に買い続けます。これは「金額ベースで割合的に買う行動」の典型例です。
このような行動バイアスと投資インフラの仕組みが、価格上昇を後押しし、長期ではインデックスの指数的成長の一因となっているのです。
まとめ:インデックスが指数的に成長するのは偶然ではない
今回紹介した4つの要因を振り返ると、インデックスの右肩上がりは偶然ではなく、構造的・心理的な背景によって支えられていることがわかります。
- 複利効果による企業価値の加速的増加
- インデックス内の企業入れ替えによる選抜効果
- 人口増加・テクノロジー進化などによる経済成長
- 価格を“%”で見る投資行動による継続的な買い圧力
この仕組みを理解することで、投資家としての「信念」が強まります。インデックス投資は派手さはないですが、市場と構造の味方を最大限に活かした投資戦略と言えるでしょう。
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