「NISAを始めたいけど、実はカードローンの返済がまだ残っている……」
そんな状態で投資を始めようとしていませんか?
この記事の結論からお伝えします。年利10%を超える高金利ローンが残っているなら、NISAより先にそちらを返済すべきです。投資で年5〜7%のリターンを得ても、年利15〜18%の利息を払い続けていては、資産は確実に減っていきます。理系パパ目線で、数字を使って徹底的に検証していきます。
なぜ「投資してる感」だけでは資産が増えないのか
SNSや周囲の影響で「とりあえずNISAを始めなきゃ」と焦る気持ちはよくわかります。しかし、資産形成は足し算と引き算の両方で考える必要があります。
投資で得られるリターンは「足し算」、ローンの利息は「引き算」です。この引き算が足し算を上回っている限り、口座残高は見かけ上増えても、トータルの資産(純資産)は減り続けます。
投資リターンとローン金利の比較
| 項目 | 年利の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 消費者金融・カードローン | 15〜18% | 借入額が少ないほど上限金利に近い |
| リボ払い | 15%前後 | 実質的にはローンと同じ |
| クレジットカード分割払い | 12〜15% | 手数料名目だが利息と同等 |
| 全世界株式(オルカン)期待リターン | 5〜7% | 長期平均。年ごとのブレは大きい |
| NISA積立の非課税メリット | +1〜1.5%相当 | 約20%の課税回避分 |
仮にNISAで年7%のリターンを得たとしても、非課税メリットを含めて実質8%程度です。一方、カードローンの利息が年18%なら、差し引き年10%のマイナスが発生します。これは「投資してる感」を得ながら、実は資産が確実に目減りしている状態です。
数字で検証:100万円のローンを抱えてNISAを始めたらどうなるか
具体的な数字で確認してみましょう。以下の条件で5年間シミュレーションします。
条件設定
- カードローン残高:100万円(年利18%)
- 毎月の余裕資金:3万円
- パターンA:3万円を全額ローン返済に充てる
- パターンB:1.5万円をローン返済、1.5万円をNISA積立(年利7%想定)
5年後の結果
| パターンA(全額返済) | パターンB(半分投資) | |
|---|---|---|
| ローン残高 | 0円(約3年半で完済) | 約38万円 |
| NISA資産 | 約31万円(完済後に積立開始) | 約105万円 |
| 純資産(NISA − ローン) | 約31万円 | 約67万円 |
| 支払った利息の合計 | 約27万円 | 約55万円 |
一見するとパターンBの方が純資産は多く見えますが、注意が必要です。パターンBでは利息を28万円も余計に払っています。しかも、NISA資産の105万円は「期待値」であり、相場次第では大幅に下がる可能性があります。一方、ローン返済は年18%の確定利回りと同じです。
つまり、確定で年18%の「投資効果」が得られるローン返済を後回しにして、不確実な年7%を追いかけるのは、理系的に考えると合理的ではありません。
「NISAより先に返すべきもの」の判断基準
すべてのローンを返済してからでないと投資を始められない、というわけではありません。判断基準はローンの金利です。
金利別の優先度ガイド
ローン金利別・投資との優先順位
- 年利10%超(消費者金融・リボ・カードローン):最優先で返済。NISAは返済完了後に開始
- 年利5〜10%(一部のフリーローン・分割払い):返済を優先しつつ、余裕があればNISA少額開始も検討
- 年利3〜5%(マイカーローン等):並行してNISA開始でもOK。ただし繰上げ返済も意識する
- 年利1%前後(住宅ローン):NISAを優先。繰上げ返済は投資効率とトレードオフで判断(住宅ローン繰上げ返済シミュレーターで比較できます)
ポイントは「ローンの金利 vs 投資の期待リターン」の差です。NISAの非課税メリットを加味しても、投資の実質リターンは年6〜8%程度です。これを上回る金利のローンがあるなら、返済が「最強の投資」になります。
高金利ローン残高別 損益分岐シミュレーター
計算の前提・仕様
- 投資リターンは年利の複利で計算(実際は変動しますが、長期平均の想定値として使用)
- ローン利息は元利均等返済方式で概算
- NISA非課税メリットは投資リターンに含めて考慮(実質リターンとして入力してください)
- 毎月の余裕資金を「全額返済」と「返済+投資の併用」で比較します
ローン残高別 損益分岐シミュレーター
ご自身のローン残高と金利を入力して、「全額返済」と「返済+投資の併用」でどちらが有利になるか確認してみてください。多くの場合、ローン金利が投資の期待リターンを上回っていれば、全額返済が合理的という結果になるはずです。
我が家の場合:住宅ローン以外の借入ゼロからNISAを開始
私自身は、NISAを始める前に住宅ローン以外の借入がないことを確認してからスタートしました。住宅ローンは年利0.5%程度の変動金利で借りているため、繰上げ返済するよりNISAに回した方が期待値は高いと判断しています。
ただし、これは住宅ローンの金利が1%を切っている場合の話です。もし金利が2〜3%以上に上昇するなら、繰上げ返済とのバランスを再検討する必要があります。この判断には住宅ローン繰上げ返済シミュレーターが役立ちます。
大事なのは、「みんながNISAをやっているから」ではなく、自分の家計のバランスシートを見て、数字で判断することです。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 高金利ローン(年利10%超)が残っているなら、NISAより返済が優先。利息の確定コストは投資の不確実なリターンに勝る
- ローン返済は「確定リターン年18%の投資」と同じ。これに勝る投資先はほぼ存在しない
- 住宅ローン(年利1%前後)は例外。NISAとの並行運用が合理的なケースが多い
- 判断基準は「ローン金利 vs 投資の期待リターン」の差。金利が高いほど返済優先度が上がる
- 「投資してる感」に満足せず、純資産ベースで考える習慣をつけることが大切
まずは自分の借入をすべて洗い出し、金利を確認するところから始めてみましょう。高金利のローンがなければ、安心してNISAをスタートできます。投資先の選び方については、貯金と投資の優先順位を解説した記事や、新NISAでの具体的な商品選びの記事も参考にしてみてください。

