なぜ今、「世界秩序の変化」を学ぶべきか
私は投資をするようになり、ニュースや世界の動向に注目する機会が増えてきたと実感しています。特に、自身の投資先に影響のある内容ついては注目してみています。
米中対立、各国の政治的分断、インフレと金利上昇、地政学的なリスク──
こうした流れを理解するための強力な羅針盤となるのが、
レイ・ダリオ著『世界秩序の変化に対処するための原則』です。(私のバイブル)
本書では、歴史的な覇権国家の興亡パターンを分析し、今後起こり得る世界秩序の変化について冷静かつ緻密に考察しています。
個人的にも、非常に説得力のある内容であり、資産運用だけでなく、これからの生き方にまで深く影響を受けた一冊でした。
この記事では、そんな本書の要点をわかりやすくまとめつつ、私自身が特に印象に残ったポイントも紹介します。
覇権国家のサイクル|上昇と衰退のパターン
レイ・ダリオによると、世界の覇権国家は一定のサイクルで興亡を繰り返してきました。
その典型例として挙げられているのが、
- 15〜17世紀のオランダ
- 18〜19世紀のイギリス
- 20〜21世紀のアメリカ
これらの国々には、共通した興隆と衰退のパターンがあるといいます。
覇権国家の成長サイクル
- 革新的な発明・教育の向上
- 生産性の向上と経済成長
- 軍事力・金融力の拡大
- 通貨の国際的な支配
- 国内の格差拡大と社会不安
- 政治的分断
- 過剰な借金と財政赤字
- 外的・内的な衝突の増加
- 覇権の衰退と交代
つまり、国の力は永続しないという前提を持つことが重要だと、ダリオは強調しています。
教育分野が未来を先取りする
本書の中で特に興味深かったのは、
「覇権交代は教育分野から始まる」という分析です。
歴史を振り返ると、
- オランダが商業教育で先行し
- イギリスが産業革命で科学教育を発展させ
- アメリカが20世紀に最先端の科学技術で世界をリードした
という共通点がありました。
現代では、AI、EV、バイオテクノロジー分野での中国発の論文・特許数は急増しており、
(質はともかく量の面では)「世界の知的リーダーシップ」が静かに変わり始めていることを実感します。
この事実を知ったとき、私は「いよいよ世界秩序が大きく動くかもしれない」と肌で感じました。
米国の現在地|内部分裂と負債拡大というリスク
米国が今も経済・軍事・金融面で世界最強の国であることに疑いはありません。
しかし、本書では次のようなリスク要因が指摘されています。
- 政治的分断(共和党と民主党の極端な対立)
- 負債の急増(国家財政赤字の拡大)
- 社会的格差の拡大(上位1%と残り99%の分断)
これらは歴史上、覇権国家が衰退局面で共通して抱えていた課題と一致しています。
最近の米国社会を見ていると、上記のリスク要因がまさに現実のものとして顕現しているように思われ、米国への投資割合も低くないため不安を抱かずにはいられません。
もちろん、米国のイノベーション能力や経済力は依然として高いですが、
だからこそ、「米国一本に賭ける」リスクを強く意識するようになりました。
まとめ|未来は予測できない。だからリスク分散が必須
レイ・ダリオは本書を通じて、
「未来は予測できないが、パターンは存在する」というメッセージを私たちに伝えています。
過去の覇権国家が必ず衰退したように、
今後の世界も、大きなうねりの中で形を変えていくでしょう。
だからこそ、個人レベルでも
- 世界経済全体に広く分散する
- 一つの国や資産クラスに偏らない
- 柔軟に変化に適応できる準備をしておく
こうした「守りながら成長を目指すスタンス」が大切だと感じています。
この記事で紹介した『世界秩序の変化に対処するための原則』は、
単なる経済書や投資本ではありません。
「これからの世界でどう生きるか」を真剣に考えるための、貴重な一冊です。
興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
関連記事
本書の主張を参考に、新NISAでの資産形成方針について解説した記事はこちら。
コメント